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品川区公式チャンネル しながわネットTV

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(1)プ ロ ロ ー グ

北品川にある品川宿交流館。
この日行われたのは『お台場少年』出版の集い。
著者・田森さんの実家が昭和35年ごろ、品川宿交流館のある場所にあった。この本は田森さんの通っていた台場小学校の周辺を舞台にした児童小説である。

『お台場少年』著者 田森庸介さん
「田中さんのおかげで出版できた。ありがとう」

田森さんに感謝される田中さん。田中さんの呼びかけに応じた地域の人たちとともに、およそ4年かけて、ようやく出版にこぎつけた。

『お台場少年』出版実行委員 田中義巳さん
「出版実行委員会が関わっているので、自分たちの本が完成したという感覚で、すごく喜んでいる」

田中さんは古書店の店主。
そして まち歩きの達人として知る人ぞ知る人物である。

街道文庫 街道歩き相談承り処 田中義巳さん
「毎回まち歩きをする度に、新しい発見がある」

*タイトル:しながわのチカラ 副題『街道を歩いて40年 街道文庫店主の歩み』

街道を歩いて40年。街道文庫店主・田中さんの人物像に迫る。

(2)街道文庫

北品川、南品川は、かつての宿場まち。歴史あるまちを観光するまち歩きの人たち。
旧東海道から少し外れた場所にも、まち歩きの人たちがいる。

彼らのお目当ては『街道文庫 街道歩き相談承り処』

街道に関する本ばかりが集められた古書店。店内は本であふれかえり、本棚と本棚の間を、なんとか人が通ることができる状態である。
この店を営む田中さん。蔵書はおよそ5万冊。昭和58年(1983)ごろからテーマを「街道」に絞って集め始めたという。

街道文庫 街道歩き相談承り処 田中義巳さん
「本を集めるのが好きで「街道」をテーマに何万冊も購入した」

(3)田中さんの歩み
街道文庫がオープンしたのは平成23年(2011)。店舗は旧東海道沿いにあった。

街道文庫 街道歩き相談承り処 田中義巳さん
「街道歩きが好きな人を手助けしたいとうのが開業の目的」

「生まれは昭和26年(1951)九州の大分県臼杵市(うすきし)。大学で北陸の福井に移り卒業後は江戸川区役所に入庁。建築課や土木課で建築関係の仕事をしていた。街道に興味を持ったのは昭和55年(1980)ごろ始めたマラソンがきっかけ。トライアスロンとウルトラマラソン(米国横断)に興味を持ち、ウルトラ(米国横断)マラソンの練習で東海道を走った。当時は旧東海道という意識は全くなかった。静岡県を走っていたときに旧道があって松並木があることに気がついた。そこが国道とは違うことがわかったので次は旧道を調べて走ってみようと思った」

田中さんはマラソン仲間に呼びかけ、日本橋から三条大橋まで、東海道をおよそ500キロ。
6日間かけて走る大会を平成3年(1991)から始めた。

街道文庫 街道歩き相談承り処 田中義巳さん
「それから20年間で17回。東海道五十三次遠足ジャーニーラン大会を開催。定年退職をきっかけに大会を終了した。夜に品川を通ることが多かった。その当時、商店街のシャッターが浮世絵になっていたので、品川が一番東海道のなかでも熱意があると思い、品川で街道歩きの相談承り処を開くのが定年退職後の第二の人生で一番楽しいと思い開業した。
江東区亀戸に自宅マンションがあったので品川まで通って旧東海道で店ができれば良い。家賃を安くするために狭い場所を選んだ」

平成23年(2011)退職金を資金に開業した田中さん。
この年に過酷な米国横断マラソンに挑戦している。

田中さんは平成25年(2013)、店を現在の場所に移転。
同時に所有していたマンションも手放すことにした。

街道文庫 街道歩き相談承り処 田中義巳さん
「退職金は2年目で使い果たした。2カ所で維持費がかかるので1カ所にした」

(4)「KAIDO books & coffee」
田中さんが訪ねたのは「KAIDO books & coffee」
平成27年(2015)にオープン。手作りのホットドッグが名物の店である。
店の2階には田中さんが選んだ書籍や蔵書が並ぶ。
本のテーマは「旅」。お客さんは自由に読めて、購入もできる。
街道文庫の営業にブックカフェのオープンも少なからず影響しているという。

街道文庫 街道歩き相談承り処 田中義巳さん
「平成25年(2013)ごろに佐藤店主からブックカフェを開店するので協力を頼まれた。カフェに蔵書を2万冊ぐらい置けるなら古書店を続けなくても良いと思い協力した。実際1万5千冊ほどしか置けなかったので 倉庫的な使い方だが古書店を続けることになった」

(5)まちづくり協議会 
こちらは田中さんが通いなれた品川宿交流館。旧東海道品川宿周辺まちづくり協議会が運営する施設である。
こちらにも田中さんの蔵書が置かれている。
街道文庫を開業後、すぐに田中さんは「まちづくり協議会」のメンバーに加わった。

旧東海道品川宿周辺まちづくり協議会 会長 堀江 新三さん
「田中さんに品川に住んでほしいと何度もお願いして品川に住んでもらった。田中さんは品川宿の宝」

しながわ観光協会 大越 章光さん
「私たちにとって、当たり前の景色で気にしていなかったところを、重要な場所だと気づかせてくれる。田中さんは貴重な存在。田中さんが品川に来てくれて本当に良かった」

まちづくり協議会が協力している「南品川櫻河岸(さくらがし)まちなか観光案内所」
田中さんも案内係として手伝っている。
ここは、かつての交番。昭和4年(1929)ごろに建てられた、築90年以上の建物である。
地域の要望を受けた品川区が文化財として保存。歴史や文化を伝える観光案内所として令和4年(2022)から活用を始めた。

旧東海道品川宿周辺まちづくり協議会 和田 富士子さん
「田中さんがいるときにだけ来る人がいる。歴史が好きな人にとって、田中さんはレジェンド」

(6)品川宿史談会 
郷土文化の情報発信を行っている品川宿史談会。田中さんは史談会の副会長である。

街道文庫 街道歩き相談承り処 田中義巳さん
「品川の地元にもっと密着した品川の歴史をいろいろな発掘をしてよみがえらせることが品川宿史談会の目的」

品川宿史談会 会長 新実 正義さん
「田中さんは貴重な存在で田中さんがいなかったら私たちの活動は続けられなかった」

(7)勉強会 
この日、品川宿交流館で行われたのは、田中さんが主催する歴史の勉強会。
明治時代に活躍した品川出身の国会議員・平林九兵衛の著書を使って学ぶ。

街道文庫 街道歩き相談承り処 田中義巳さん
「平林九兵衛はいろいろなまちおこしをしている。まちづくり協議会の先祖のような人。江戸時代~昭和初期まで農業に使われた品川用水。明治10年(1877)干ばつで大変な被害を受けていた現在の西大井駅周辺地域に平林九兵衛は自費で品川用水の水を引いた。平林九兵衛とは、どのような人物だったのかを研究して発表したい」

(6)エ ピ ロ ー グ
街道文庫 街道歩き相談承り処 田中義巳さん
「『まち歩きの会』を いまは感染症の影響で大々的に開催できなくて小規模でときどき開催」

田中さんは「まち歩きの会」も主催。事前に調査も行う。
品川道などの古道も、まち歩きの対象である。
まち歩きや勉強会などの研究が史談会やまちづくり協議会の活動へ発展していく。
まち歩きの達人ともいわれる田中さんに改めて、品川の魅力を尋ねた。

街道文庫 街道歩き相談承り処 田中義巳さん
「東京都心に近い場所なのに、昔の東海道の形が、いまだに残っていて道幅も変わっていない。お寺の位置は全く変わっていないので、まちの雰囲気は江戸時代の地図を持って歩いても楽しめる。 
地域の人全員で支えるまちと歴史を今後どのように作っていくか。まちづくり協議会が中心になり、それを使命として果たすことが必要だと思う」

趣味のマラソンから旧東海道に魅了された田中さん。
新天地に選んだのは品川であった。
街道を歩いて40年。
これからも、まちの歴史とともに田中さんは歩み続けることであろう。

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