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去年、訪問介護の報酬が引き下げられて倒産・休廃業した介護事業者の件数が過去最多となった。訪問介護の現場では、介護ヘルパーの高齢化や深刻な人手不足が進んでいる。
■週6日勤務ヘルパー、手取りは15万円
介護ヘルパー
坂本信子さん(69)
「おかえりなさい」
訪問介護を利用
安井節子さん(84)
「すみません」
デイサービスから帰宅した84歳の女性を出迎えたのは、介護ヘルパーの坂本さん。
坂本さん
「ご飯は?」
安井さん
「ご飯、冷凍のところに」
坂本さん
「冷凍のにします?」
安井さん
「はい」
利用者は夫が入院中のため、現在1人暮らし。週に5日訪問介護を利用している。
安井さん
「コケたんですね。2年前にちょうど。左手と左足まひ状態で、1年間寝たきり状態」
リハビリを経て杖で歩けるようにはなったが、手のまひが残り、食事の準備や洗濯、掃除などの生活援助をお願いしている。
安井さん
「(Q.どうですか。きょうのヘルパーさんは?)よくやってもらってます。洗濯機回してもらって」
坂本さん
「普通ですから」
安井さん
「やっぱり住み慣れた自分の家で過ごしたいから、訪問来てもらえるのがありがたいです」
利用者の願いは、施設ではなく自宅で暮らすこと。訪問介護はなくてはならない存在となっているが…。
坂本さん
「肉体的にはしんどいところもありますけども、やりがいはある仕事ですね」
「年1回くらいはやってます、ぎっくり腰。コルセット巻いて、痛み止め飲んでできる範囲の仕事はします」
ヘルパー歴15年の坂本さん。休みは日曜日だけで週6日働き、ひと月の手取りは15万円ほどだという。
坂本さん
「(Q.一日どのくらい家をまわる?)多いと4件ですかね。結構ハードなんですけどね」
■新規の利用者対応増…「四苦八苦」
今、5人に1人が75歳以上と高齢化が進むなか、去年、訪問介護事業所の倒産・休廃業が過去最多の529件となった。
事業所の倒産・休廃業が全国最多の73件となった大阪府。大阪市東成区にある訪問介護事業所では、在籍する介護ヘルパーは16人、そのうち8人が60歳以上と高齢のヘルパーに頼っているのが現状だ。
ヘルパーステーション いぶき
田中文朗さん
「曜日は決まってるんでしたっけ?金曜日の朝10時。厳しいな」
人手不足により、介護ヘルパーのシフト繰りにも四苦八苦。
田中さん
「9人のお世話を一日でしているヘルパーさんがいます。あと1~2人いてもらえれば、少し余裕をもって(サービスを)提供できるかなと思うんです」
さらに 追い打ちをかける出来事が…。
田中さん
「新規の問い合わせがあって、お願いできますかということですね」
「ご苦労様です、失礼します」
「新規の利用者さんの相談です」
新規の利用者の相談が次々と入る理由があった。
田中さん
「3月ごろに店じまいしなきゃ仕方がないという事業者があって。私どもの事業所で(利用者を)見てもらえますか?っていう相談が立て続けに7~8件来ましたので、それがこなせるかどうかで四苦八苦して」
近くにある訪問介護事業所が倒産し、その利用者を引き継いでほしいという相談が多くなっているという。ヘルパーの増員を考えたが…。
ヘルパーステーション いぶき
出口一也社長
「募集かけても集まらない」
求人サイトでヘルパーを募集し、45人ほどに打診したが、1人しか採用できなかったという。
出口社長
「(応募者が)施設系の方も並行して応募をかけてるんだという形で、その施設の方へ行かれてしまうと。結局、訪問介護というのがハードルが高くなったのかな」
訪問介護は不測の事態にもヘルパー1人で対応しなければならず、チームで動ける介護施設より敬遠されがちだという。
■事業者、自身の預金を切り崩して補填
去年、訪問介護事業所の倒産・休廃業数が大阪府に次いで2位の東京都。
介護ヘルパー(73)
「おはようございます。ヘルパーです」
「これから布団をとってお体拭きながら、その後排泄(はいせつ)介助いたしますので」
寝たきりの84歳女性を介護するのは、この道25年、73歳の介護ヘルパー。
利用者
「やってもらうと助かりますね」
家には89歳の夫もいるが…。
利用者の夫
「きついですね、もう。私自身が弱ったらどうしようかなと思って。とにかくヘルパーさん抜きでは考えられないです」
東京でも人手不足は深刻で、高齢の介護ヘルパーが利用者を支えている。
介護ヘルパー
「高齢のヘルパーさんは多いどころか、ほとんど高齢です。若い方はやはり少ないですよね」
人手不足のなか、さらに追い打ちをかけたのが介護報酬の引き下げ。去年、厚生労働省は、利益率が他の介護サービスより高いことをあげ訪問介護の基本報酬を約2%引き下げた。
NPOわかば 辻本きく夫代表(74)
「まずびっくりした。そんなことがあるわけないっていうことが起こった。高齢者も一生懸命働いて、何とか現場を守っている中で、気持ちが萎えてしまうんですよね」
辻本さんの事業所は人手不足で訪問介護部門を縮小したこともあり、今年は去年より4割ほど減収になるという。事務所の赤字分は辻本さんが定期預金を切り崩して補填してきた。
辻本代表
「(Q.辻本さん自身はどれくらい負担?)700万円くらいじゃないかと思います」
「(Q.ご自身の預金を切り崩して?)そうですね」
「(Q.経営を成り立たせている?)そういうことですね」
20年以上、介護事業に関わってきた辻本さん。しかし、自身も今年75歳を迎え後期高齢者に。今後は事業所の閉鎖も考えている。
辻本代表
「何とかね、今の状態で残せれば一番いいとは思うんですけどね。なかなか容易ではございません」
閉鎖か継続か、夏ごろには方向性を決めたいという。
■87歳ヘルパーの働く理由
午前8時30分に利用者宅を訪れたのは、ケアワーク千代田・介護ヘルパーの遠藤シマ子さんだ。
利用者の母
「87歳に見えない」
遠藤さんはなんと87歳。訪問介護を利用しているのは、高尾洋之さん(49)。
大学病院で医師として働いていた7年前の2018年、末梢(まっしょう)神経の障害で急に手足などに力が入らなくなるギラン・バレー症候群で倒れ、4カ月間意識不明になった。
徐々に声が出せるまでに回復し、3年半前に退院してから、訪問介護を受けている。
高尾さん
「家に週7来ているヘルパーさんのうち、6人は77歳以上。それが実情」
遠藤さんは週に2回高尾さんの家で訪問介護をしている。87歳、遠藤さんの勤務時間は12時間半。
高尾さん
「(Q.麺の切り具合は?)ちょうどいいです」
食事の補助などのほか、ガーゼの準備や体を拭くために使うタオル、洗濯や掃除などの生活援助を行っている。
高尾さん
「(Q.遠藤さんの存在は?)大きいです。人がいないから。よく働いてますよ」
遠藤さん
「あっという間に一日過ぎちゃう。嫌だったら長く感じるでしょうね」
午後9時、ようやく帰路につき遠藤さんが自宅に帰ったのは午後10時。
会計事務所などで30年にわたり勤務していた遠藤さん。介護ヘルパーの仕事は60代から始め、20年以上になる。
遠藤さん
「給料安いですよ。今は10万円ぐらい、手取り」
「(Q.何に使うのですか?)カラオケ」
年金はひと月あたり10万円ほどだという遠藤さん。10年ほど前に夫を亡くし、現在は1人暮らし。87歳になっても働く理由を聞いてみると…。
遠藤さん
「困ってるじゃないですか。ヘルパー少ないから。人のために役に立ちたい。働いてたほうが生きがいがあるじゃないですか」
(「羽鳥慎一 モーニングショー」2025年5月13日放送分より)
[テレ朝news] news.tv-asahi.co.jp/
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